L.D.HOMES BLOG
設計事務所の今日
ご無沙汰しております。
まさか前回更新から2カ月も経っているとは思いませんでした。
12月になりましたね。2021年も終わりますねぇ…
厚手の上着が必須となった時節、大阪にて引き渡しを行いました。
私がL.D.HOMESで働き始めたのは約2年半前ですが、それよりも前から土地探しを含めて打ち合わせを重ねていたそうで。
ようやくの完成に感慨もひとしおといったところでしょうか。
さてさて、私がこの物件に関わったのは図面作成と申請業務です。
そのうちの申請について少し。
家を建てる時には建築確認申請というものが必要になります。
「これからこの場所に建てようとしている建物は建築基準法に適合しています!」と証明するための申請です。
申請書類には様々な法律を持ち出して適合している旨を示していくのですが、
扱うのが戸建てだけなのでどの物件でもほぼ同じ証明を行います。
ただし今回は1つ特別な存在がありました。
それは、道路です。
道路そのものはどの物件にも絡む必須の存在なのですが、今回は一味違ったのです。
これは過去にも説明しているかもしれませんが、建物を建てようと思うと接道義務なるものが発生します。
「建てようとしている敷地が、幅4m以上の道路に2m以上接していないとダメですよ!」という内容です。
このように。
では、敷地が道路に2m以上接していても、その道路の幅が4mないという敷地には建てられないのでしょうか。
基本的には建てられます。
今回の道路は建築基準法第42条2項に定める道路、俗にいう2項道路です。
そうです。以前書こうとしてデータが消えてしまったテーマです。
実際に2項道路の現場が動いていたので、その温度感のままお伝えしたかったのですが……。
ざくっと説明しますね。
今回の道路幅は一番広くて約3.1m、一番狭い場所だと約2.5mしかありません。4mないですよね。
さて、どうしましょう。
ここで登場するのが「セットバック」
なんぞ?と思われる方がほとんどでしょうが、これ自体はそんなに難しいことではありません。
ひとつの例として、このように道路中心線から水平距離2mまで敷地境界線を一斉に下げるのです。赤色の線がそれです。
これはつまり、自分の敷地が減少することを意味します。
このあたりは画像を見てへぇ~という程度に流しながら読んでください。
セットバックした場所(=新たな敷地境界線)には縁石を敷設しました。
ここが境界線です!ちゃんとセットバックしました!と示すためです。縁石の敷設は自治体の指示です。
(今後のためにも資料として写真に収めておくべきだった…)
このようにしてセットバックは完了です。
建築確認申請の書類にはこれらの事項の記載が必須になります。
他の法適合も含めて問題がないと判断されれば、確認済証という証書が発行されます。
これをもって工事を始めることができます。
この手続き自体はそこまで難しくありませんが、2項道路で難しいのは実際にセットバックするための工事の時だなと感じました。
道路の幅が一定、敷地境界線が直線などであれば分かりやすいのですが、
道路の幅が一定でない、敷地境界線が複数回折れ曲がっているため直線ではない、となると、
正確なセットバック位置を割り出すことの難易度があがるのです。
工事のための作図手順はこちら。
①測量図や境界確定図を基に作図ソフトで道路の正確な位置を描き出す
↓
②道路中心線を求め、そこから敷地側へ水平距離2mの場所に線を描く(以後、後退線)
↓
③後退線と他の絶対に動かない物との距離を作図ソフトで測り、図面に記載する
①②は確認申請書類を作成する段階で既にクリアしている項目です。
③なんですよ、難所だったのが。
道路に敷設してあるマンホールを基準とするのか、道路を挟んだ向かいの敷地境界線を基準とするのか、自分の敷地内の別の敷地境界線を基準とするのか。
結局4枚ほど描いて、上記のどれでもなく「建物の角を基準とする」測り方に落ち着きました。
一部を切り取るとこのような感じでございます。
2つの★の場所を見ていただくと、どちらも青と赤の線が1本ずつ伸びていますね。
青と赤それぞれの線がたどり着く先をご覧ください。同じ色が同じ場所にたどり着いていますよね。
これは、辺の長さのみが分かっている三角形をコンパスを用いて描く方法を利用したものです。(この例え伝わっていますか…?)
異なる場所からそれぞれの半径で円弧を描き、2つの円弧が交わる場所が求めている点になります。
これ私の世代は小学校4年生あたりの算数で習った記憶があるのですが、皆様はどうなのでしょうか…
まあそれはともかく、このようにしてセットバックを行いました!というお話でした。
年内にもう1回くらいは更新したい所存でございます。
皆様お体にお気を付けくださいませ。
それではまた。
Written by nakamura
ご無沙汰しております。
我々は体調を崩すこともなく元気に過ごしております。
相も変わらず曇天模様の世の中で、私はもともと外出があまり得意ではないので苦労はありませんが、
自由に外に出られずにフラストレーションが溜まる方もいらっしゃると思います。
はやく制限されずに動き回れるようになればいいですね。
と言いつつ、1年後も2年後も依然としてマスクと規制に追われている気はしますが。
この約2か月半は各種申請業務が立て続けにありまして、
昨今の働き方の変遷により全員が集まることがないので社内でのネタがなく、
現場は動いているのですがこれまた写真がなく。
こんなことを書きながらいろんなフォルダを漁っていると現場写真を発見。
大阪で動いている現場です。
私が最後に見た3か月以上前(こんなに経っているとは思わなかった)の現場はまだ上棟したばかりでした。
それがもうボードまで。
断熱材の施工状況が分かる1枚。
外気に接する部分、つまり外壁面や最上階の天井(または屋根)、最下階の床を構成する木材の間に敷き詰めます。
断熱材で家全体をぐるっと覆うイメージです。
この現場写真の日付が2か月ほど前だったので、今はもっと完成に近づいています。
クロスを貼るあたりでしょうか。もう少し進んでる?どうでしょう。
完成が楽しみです。
ちなみに。過去にも書いてるかもしれませんが。
この写真の上半分に写っている黄色いものは「石膏ボード」と呼ばれる板状の材料です。
プラスターボードとも言い、12.5㎜の厚みのものを使うときは図面に「PB(t=12.5)」と記します。
石膏ボードとは何者なのか。
石膏ボード工業会(http://www.gypsumboard-a.or.jp/about/feature.html)が分かりやすくまとめてくれていますが、
ものすごく端的に言えば、火に強くて音を通しにくくて工事がしやすい優れものです。
木材で家の軸(骨組み)を形成し、その軸を覆うように壁と天井に石膏ボードを取り付けます。
別物件ですが、このように。
石膏ボードで覆って壁と天井を平らにしてからクロス貼りです。
仮に木材に直接クロスを貼り付けたとすると、木材と木材の間が何もない空間なので穴開け放題ですね。
まあ、ボードがあってもぶつけ方によっては穴は開くでしょうけど。
優れものの石膏ボードにも注意点はあります。
それは、水分と湿気。敵です。
石膏を紙でくるんだものなので水にあまり強くありません。
でもボードは貼らなければならない。と、なると。
耐水仕様の石膏ボードを使います。
↑この緑色が耐水仕様のものです。(※メーカーによっては色が違う可能性あり)
水回りに使うので、キッチン・トイレ・洗面所・お風呂はこの緑色です。
皆さんも、持ち家を建築する際にもしボード貼りの過程が見られるのなら、
こういったところにも注目してみてください。
完成したら見られないものなので、案外貴重な光景かもしれません。
それではまた。
Written by nakamura
こんにちは。
6月が終わる前に。(1ヶ月経つの早すぎる……)
↑下書きでこう書いていたら気付けば7月になってしまいました。
6月初旬、お久しぶりの現場へ。木材のにおいがやたらと懐かしく感じました。
この時は上棟したばかりで、午前中に行ったこの日は組み終わっていない足場を組んでいました。
この日の確認・決定事項は外壁とサッシの色。どんな外観に仕上がるのでしょうか。
楽しみですねぇ。
先述の通り上棟したばかりなので、部材をくっつけて固定するための金物がまだほとんど付いていません。
金物をすべて取り付けたら中間検査を受けます。これをクリアしないと次の工程に進めないのです。
中間検査の対象となる工程を「特定工程」と言い、
□構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)
□規模(2階建て以上・3階建て以上など)
□用途(戸建て住宅・非住宅(衣食住が目的ではない建築物)など)
これらの条件によって定められています。
建築基準法は「完成形が3階建て以上になる共同住宅の、2階の床とそれを支える梁に鉄筋を配置する工事が終わったら検査を受けてね!」
と言っています。
ではこれに該当しない場合は中間検査が必要ないのでしょうか?
答えはNOです。
法律で規模等が明確に定められているのはこの1つだけですが、他にも「行政の指定による」とも言っています。
つまり戸建て住宅の場合、中間検査の有無は行政によることになります。
たとえば神戸市で木造2階建ての戸建て住宅を新築する場合、
対象建築物「10㎡を超える一戸建ての住宅」
特定工程 「木造:柱、梁、筋交いなどの骨組みの工程」となっているので、
中間検査を1回受ける必要があります。
ちなみに神戸市の場合、3階建てになると基礎の配筋工事(前回ブログの2枚目の写真)も対象に加わるので、
中間検査を2回受けなければいけません。
ややこしいですね。
今回の現場は中間検査は1回だけです。
そして家が完成したら完了検査を受けます。
その検査を受けて、無事に検査済証が発行されれば、お客様へ引き渡しとなります。
この日以降は描かないといけない図面に追われて現場に行けていませんが、
また行けたときに現場写真など更新できればと思います。
それではまた~
Written by nakamura
お世話になっております。
気が付けば4月が終わり、地道に続けていた月1更新の記録が途絶えてしまいました。
定期的なブログ更新が苦手な中で奮闘していたのですが、もろもろが重なって続きませんでした。
悲しいです。
でもそんなことはかわいいもんです。
地道に書き進めていた2項道路についての文章データが消えました。
泣きそうです。
法律を題材にする時はいつも以上に間違いがないか気を付けないといけません。なんせ法律ですから。
今回も法令集をよく読んで、でも堅苦しくならないように言い方を崩したり、間違いがないか何度も確認したり。
これはもう本当に悲しみMAXです。
データとともにやる気も消えました。
という言い訳を述べてから、5月までもが終わってしまう前にせめて1つくらい更新しようと思います。
他にもしたためていたネタがありますので、そちらをば。
東京の現場の写真です。
いつものごとく私は現場へ行っておりませんので、入手できた写真をただ貼り付けるだけになってしまいますが。
現場に行っている大島や田端に現場でのことを書いてほしいのですが、
おそらくその願いが叶う日はこないので写真張り付け担当のわたくしが更新させていただきます…。
捨てコン。これは2月ごろでしょうか。
これは基礎の配筋ですね。
真ん中に写っている歯車のようなものや、真ん中の下の方に写っている四角いものは「スペーサー」というものです。
基礎は鉄筋とコンクリートで造られますが、鉄筋コンクリート造において「かぶり厚」というものが存在しまして、
それを確保するためのアイテムでございます。
簡易的すぎますが図で表すとこういうことで、文字で表すと鉄筋の一番外側からコンクリートの表面までの距離がかぶりです。
最低限この距離は確保してね!というのがありまして、例えば100㎜と言われたとしたら、
図面における赤線で示した部分が100㎜以上ないとだめですよ!というわけでございます。
お次。
内部です。どうやら近々足場が外れると聞きましたので、今はもうこの状態からかなり進んでいますね。
この写真の頃は3月末か4月上旬あたりでしょうか。
屋根です。この頃はまだ下地の段階ですね。写っているのは防水シートです。
持っている写真はこれだけです。
今はこの東京の現場のほかに枚方でも工事が始まっていますが、
こちらに関しては現場写真のデータが手元にないので手に入ったらまた更新しますね。
それでは。
Written by nakamura
お世話になっております。
業務に追われて文章を書く時間がなかったという4割の真実を含んだ言い訳をここに置かせてください。
前回の最後に述べたように道路についての話をしたかったのですが、
まだまとめられておりません…。
急ぎの申請業務に加えて突如として飛び込んできた急ぎの図面を書く作業がありまして、
おそらく来月中旬あたりまで(下手すればゴールデンウイーク前まで)時間を要しますので、
これについては一度おあずけとさせてください。
今回は最近竣工した関東の物件についてです。
と言ってもこのご時世、私は一度も現場に行っておらず、実物も見れておりませんので、
大島が撮った写真の情報しかありませんが。
簡易的なものになってしまいますが、どうぞ!
まずは玄関。
この物件はお施主様のご希望で廊下まで玄関土間と同じ仕上げになっております。
続きましてリビング。広い。
洗面所へ移動して。
ミーレ製品が並んでいます。洗濯機と乾燥機です。
置き場を造作でこさえたのでジャストフィットです。とてもよい。
そしてお風呂。
昨年末のブログで少し触れましたが、お風呂が特徴的でございます。
乾燥機(もしかすると洗濯機)に隠れてしまって少し分かりづらいですが、バスタプが単体で置かれております。
ユニットバスとは違って、バスタブや水栓や防水などはあらかじめ施されているわけではないので費用は高くなってしまいますが、
その分自分の好きな空間にできるというメリットはあります。
あと、壁の一部を前に出して段差を作り、そこをシャンプーなどの置き場所として使えるようにしています。
写真のちょうど真正面に写っている壁がそれですね。
ちなみに壁を前に出すことを建築用語で「ふかす」と言います。
「ふかし壁」でネット検索していただければ施工事例や説明がたくさんヒットすると思います。
最後は外構。
敷地内で高低差がある土地なので階段が必要でした。
無機質な灰色の直線直角のかたまりと黒い直線のフラットバーが共存しているこの感じ、個人的に好きです。
以上になります。
完成見学会が開催できれば良いんですけどね。このご時世ですから…。
わたくしは図面を書きに戻ります。
それではまた。
Written by nakamura