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便利な家より気分よく過ごせる家をめざして

インタビュー

便利な家より気分よく過ごせる家をめざして

神奈川県伊勢原市 S邸

デザイナーであるご主人が細かいところまでとことんこだわり抜いた「便利な家より気分よく過ごせる家」。「便利な」日本の住宅からはずれることを目的としたアメリカンフラットハウスについて伺いました。

※S様自身が発信しているNOTEにて家づくりの経緯やこだわりが細かく記載されています。
(NOTE https://note.com/thewhitehouse  )
インタビューでは、NOTEを拝見させて頂き、追加の質問とさせて頂きました。
(いくつか抜粋して記事を掲載させて頂いております。)

以前住んでいた賃貸から引っ越しを決めて、実際に家ができあがるまでなんと6年かかったというSさん。
それまでの経緯についてまとめてみました。

– 引っ越し先の賃貸物件探しに一年間
– 気にいるものがなく、「作るしかない」と計画を中古マンションのリノベーションに切り替え、中古マンション探しに一年弱
– 条件に合う物件に巡り合えず、計画を新築戸建に切り替える
– 画一的な賃貸マンションのような仕様にうんざりし、思いもよらなかった注文住宅に切り替え、土地探しに一年強
– 建てる家のプランニングに二年間
– 施工に約半年、その後引っ越しでトータルで6年

L.D.HOMESと出会うまで。(noteより)

家を建てるための土地を探し始めたころ、ほぼ同時に設計をお願いする事務所を探し始めました。デザインのテイストが趣味に合う作例を手がけられている会社のウェブサイトを拝見し、口コミで極端な評判ばかりではないかどうかを検索し、そうした過程を経てたまたまオープンハウスをやっている会社が二社だけあり、そのうちの一社がラブデザインホームズさんでした。
さっそくオープンハウスに申し込み、夫婦で見学へ。
のちに我が家を担当していただく大島さんに現地で会い、いろいろな質問をさせていただきました。とにかく右も左もわからない時期だったため、基本的なことを多く伺い、見学した家の細部についての質問も多数しました。この家のここがこうなっているのは何故か、こういった仕上げが好きなのだがメリット・デメリットはなにか、家を建てる中で大変なことはなにか、事前に予想がつかない出費の可能性は……などなど。
その後、私が土地を探すかなり長い期間(1年くらい)を待っていただき、候補となったいくつかの土地にも来ていただいてプロの目線からのアドバイスをいただきました。

郊外の住宅地に建つ平屋住宅。真っ白な外観がひときわ目立つ。

LDに決めた理由は??

私は他社とプランの比較をせずにほぼ迷わずラブデザインホームズさんに決めてしまいました。理由は3つあります。

最大の理由は、オープンハウスでお話した 大島さんから受けた印象です。
私は細部までこだわりがあり、一度こうと決めるとけして曲げない頑固なタイプの顧客だと自覚しています。きっと家作りは設計士さんにとって長く辛い時期になるだろうと考えました。それでも根気強く付き合ってくれる人だとお会いした時に感じたからです。

ふたつめの理由は、シンプルでサステイナブルな家を作ることを目指している会社だと感じたから。わたしは、自分のこだわりを詰め込んだ家を作りたいと思っていましたが、自分のこだわりにはムラがあるということを自覚していました。こだわりがあまりない部分に関して私がもし適当な決断をしていたとしても、この人たちにおまかせしておけばシンプルかつ必要十分な仕上がりになりそうだと感じたのは大きなポイントでした。

みっつめの理由は、小さいことと言われるかもしれませんが、ウェブサイト上の事例(つまり顧客の家)に変な名前をつけていなかったところです。
ぱっと作例を見て素敵だなと感じた家を手がけられている他の設計事務所の多くは、カタカナや英語によるポエムのような名前を家につけて紹介していました。穿った見方かもしれませんが、私はそこに「俺たちが作った作品だ」というアーティスト的な自意識を感じます。ですが、ラブデザインホームズさんの事例にはそういったものをまったく感じませんでした。
それがいちがいに悪いことだとは言いませんが、私は単純な話、自分の家に勝手に変な名前をつけられるのが嫌でした。あなたがたの作品である前に私の家である、そう思って(事例は素敵でも)声すらかけなかった建築事務所も多くありました。

家を建てるまでの期間をとっても、細部までこだわりぬいて建てられた家だと感じました。
何度も打ち合わせを重ね、納得いくまで変更もたくさんあったときいています。

家を建てるなら3度建ててみないと納得いかないという言葉がありますが、僕自身は初期衝動を全力でぶつけられるのは一回目だけだと思っています。
実は後半、息切れしてしまいこだわりきれなかった箇所があるんですが、家中見渡してみてもそれ以外全部こだわりきったと言えます。
気に入っている部分があるかと聞かれると、難しいです。
見渡す限り全部なので(笑)
僕は人と打ち解けるまで結構時間がかかる人ですし、デザイナーという職業柄、とてもこだわりが強く、知識がない中常識はずれなことを言ったり、意見をすぐに変えたりすることも多かったんです。
大島さんとは何故かわりとすぐに打ち解けたし、二度三度変更をお願いしたりしながら根気強くつきあってくれたと感謝しています。

奥様は振り返ってみていかがですか?

(奥様)
最初に主人がこだわった玄関の土間コンクリート、なかなかうんとは言えませんでした。
寒いかなあ?ひびが入るかな?と考えると、どうしても気がすすまなかったんです。
それでもやりたいというので、やって、いざできてみて、住んでみたら意外と問題ありませんでした。
逆にコンクリートを歩いて辿り着く、リビングのフローリングの感じがまたよかったりと意外にもいい感じでした(笑)
主人がこだわりの強い人で、ある程度良い物を選んでくれるので、完成した今となっては私は楽をさせてもらったというべきでしょうか?
全般的に進めていくにあたっては主に主人が大島さんとやりとりし、決めごとは夕飯の席で話し合って決めるのが我が家の流れでした。細かいところは主人がつめてくれていたのですが、ちゃんと夕飯の時間に報告してもらえるので、きちんと話し合いながら進めることができました。

玄関土間とホールはモルタル。奥の寝室へとモルタルの廊下がつづく。

NOTEを拝見して印象的な言葉がありました。
「便利な家より気分よく暮らせる家を」
できあがったS邸をみて、この言葉につきるなと思わずうなってしまいました.

特にお気に入りの場所はどこですか?

(奥様)
驚かれるかと思うんですが、実はお風呂がすごく気にいってます。
できあがった時は、扉もないし、足がべちゃべちゃだったりしたらどうするんだろう??とかなり不安だったんですが、「快適」なんです。
すごく気持ちが良いんです。信じられないですよね?
何故かと聞かれると難しいんですが、例えば排水溝の形ひとつとっても、相談しながら作り上げたもので、やっぱり愛着があります。
なので入っていると心地いい。
この綺麗なまま保とうと、お互い使い終わったら綺麗に拭き上げて出たりと、自然と大事にしようと思えるんです。
それってすごいことですよね?家全部に関してそうなんです。

真っ白で統一された浴室と洗面洗濯室。バスタブは置き式、間仕切りはなくしてシャワーカーテンのみ。

(Sさん)
僕たちの家は、いわゆる「便利な」日本の住宅からはずれることを目的としたんです。

思い描いていた家を求めて賃貸を探し、古いマンションを探し、考え抜いて作るしかないと新築住宅にたどりつきました。
ゼロから作ることにまちがいはなかったと思ってます。
こだわったポイントの数々もきりがないくらいです。
住宅を使い勝手良くコンパクトさを追求したのは、まさに日本の国民性であってそれも機能的で素晴らしいんですが、そのおかげで損なう「美しさとか素敵さ、心地よさ」もあると思います。

例えばユニットバス。
機能性に優れていて、水切れもいい、温度や湿気についても考えられていて、洗濯物も干せる。
でも、これらをクリアにしたことで「美しくなさ」を強調するものになってしまっている。つるつるてかてかの「綺麗なお風呂」。
僕が欲しかったのはそうじゃなかったんです。
結果、妻も言ったように、妥協せずに作ったお風呂が気持ちいい。
選択を迫られる場面で、何度も「便利」に振りかけましたが、そのたびに思い直して今回の家はすべて「雰囲気の良さ」に振っています。
おそらく不便なところも多々ある家になるでしょうが、大好きな雰囲気の中で心地よく過ごせる家になってくれると思います。

お風呂側からみた洗面洗濯室。

最後に、今後家づくりを考えている方へ一言お願いできますか?

(奥様)
主人はこだわりが強すぎるあまり、息切れしちゃうくらいな人です。
そこに全力で向きあってくれたのがL.D.HOMESさんでした。
なので、皆さんも思っていることがいっぱいあっても全力でどうぞ!と言いたいです(笑)ちゃんと最後まで向き合ってくれるので、安心してください!

(Sさん)
たくさん見ることだと思います。
実際に気になるところを(展示場や見学会など)見てまわったり、ピンタレスト等インターネットでたくさん見る。
3回建てないと満足しないと言われる家づくりだけど、
後悔しないように、限られた時間の中で、全力で向き合ってできた家は、欠点すらも気に入った家になります。
一生懸命作った家は愛着がわき、手をかけようと思う=永く暮らせる家になる。
僕たちの家はそんな家になりました。
これからも手を入れながら住み続ける家、とても楽しみです。
ありがとうございました。

このインタビューの物件

アメリカンフラットハウス

アメリカンフラットハウス

郊外の住宅地に建つ平屋住宅。SOHOで夫婦と中型犬2匹が快適に暮らせるように間取りや建物形状、素材、暮らし方などデザイナーの施主とこだわり抜いた家。できるだけ本物の素材をシンプルに構成することを主軸に「アメリカ感」のある雰囲気を目指した。

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